ツールと手法
中小規模施設のスマート施設園芸実現のために、UECSプラットホームを利用する低コストハードウェアとそれを活用するソフトウェアに関しまして、各種の手法・ツールの開発・提案を行います。ここでは、これらを紹介するとともに、本技術の社会実装を推進するため、設計図やソフトウェアのダウンロードも可能になっています。プロジェクトに興味をお持ちの皆様は、これらのツールを自由にご試用いただけます。ただし、無保証ですので、あくまでも自己責任でご使用願います。
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・ハードウェア (1)RaspberryPiによる低コストUECS機器の製作と利用
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・ハードウェア (2)Arduinoによる低コストUECS機器の製作と利用
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・ハードウェア (3)複合環境制御装置Yoshimaxを使ったリニューアル
環境制御コントローラYoshiMaxの改修を行うための仕様を検討しました。従来のYoshiMaxでは搭載されていなかった窓換気やカーテンをUECS対応となるようにしました。ヒートポンプ制御に関して制御方法の検討をおこないました。
1990年代の温室の環境制御システムは、マイコンを内蔵した1台で集中管理する複合環境制御コントローラが主流でした。当時は10社以上がばらばらの規格で製造・販売していたため、多くの会社が事業撤退してしまった現在、老朽化したコントローラをどうするかという課題があります。このようなシステム構成のコントローラを使い慣れた生産者は、自律分散システムへの移行に抵抗があることも事実です。コンソーシアムメンバーであり、複合環境制御コントローラの老舗メーカーの三基計装株式会社では、2010年に製品をUECS対応にして、データ収集・UECS機器との連携操作を可能にする技術を発表しました。岡山大学では、イチゴ施設養液栽培の権威である吉田裕一教授の環境制御ノウハウを搭載したYoshimax(ヨシマックス)を開発しました。これを搭載したUECS対応の複合環境制御コントローラを三基計装で開発・製品化しました。さらに機能拡張し、各種作物の冷房等の制御にまで使用することをプロジェクトで推進しています。
リンク・ダウンロード
三基計装株式会社アグリシステム
Yoshimaxを開発した岡山大学野菜園芸学研究室
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・ハードウェア (4)多棟分散施設を繋ぐ無課金無線ネットワーク
多棟点在施設を無課金のネットワークで接続し、低コストで統合的に管理できるシステムの構築を目的にして、いくつかのネットワーク機器の実証テストを行いました。2.4GHz帯(九州大学現有、TWE-LITE(モノワイヤレス製)を使用)および920MHz帯(ニシム電子工業製(評価版貸出)、カタログによる送信距離見通し5km)の計測装置を用いて電波強度の評価試験を行いました。2.4GHz帯による試験では、計測装置をハウス内の2箇所に設置して両装置から送信される電波の受信強度を計測しました。その結果、計測装置の位置を固定しているにもかかわらず、電波強度が絶えず変動し受信機から離れている装置の電波強度の変動が大きくなることがわかりました。一方、920MHzの計測装置(受信機と計測装置の距離は200m程度)では、3ヶ月間の計測期間中に複数回の通信不良が発生したものの、電波強度もほぼ一定値で推移しており、安定した通信が行えることを確認しました。また、チトセ工業製の920MHz帯のセンサネットワークシステムの性能評価を実施しました。その結果、中継器を用いることで、最大1.6km離れた地点の温室の環境データを通信可能なことが確かめられました。2.4Ghz帯ネットワーク評価機器として、スマートロジック社製無線センサ製品(10mW出力)をベースに、強制通風式で気温・湿度・CO2濃度計測が可能な子機、および土壌水分・土壌温度計測が可能な子機を開発しました。920MHz帯ネットワーク評価機器として、チトセ工業製無線センサ製品(20mW出力)をベースに、強制通風式、および簡易自然通風式でそれぞれ気温・湿度・CO2濃度計測が可能な子機を開発しました。それぞれの無線センサのデータをUECS規格の通信に変換するゲートウェイプログラムの開発も同時に行った。さらに、山口県農林総合技術センター内の実証地において、200m離れた遠隔ハウス間で開発した製品の性能試験を行った。
各種の評価試験を実施した結果、サブギガ(920MHz)帯のネットワークの利用が有望です。ただし、データ伝送速度や通信頻度を大きくできない点について検討の余地があります。
リンク・ダウンロード
スマートロジック株式会社の農業用ワイヤレスネットワーク
チトセ工業株式会社のサブギガネットワークLogbee
インタープラン株式会社の920MHz無線モジュールを含む無線ネットワークのソリューションページ
近畿大学で開発したチトセ工業LogbeeのUECSゲートウェイ(javaプログラム)(894kB)
農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「中小規模多棟分散施設の無線情報ネットワークシステムの検証」。
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・ソフトウェア (1)UECSの製作やテストに使用するツール
UECSの機器を試作したときに、UECSの通信文(UECS-CCM)が正しく送受信できているか確かめることは重要です。一般のネットワークアナライザ等を使用することも可能ですが、UECS-CCMのパケットに特化したUECS送受信機(Windows版のUECSパケットアナライザ)を使用するのが大変便利です。また、疑似的な環境計測データをUECS-CCMで配信するUECSダミーノードは、計測モニタソフトウェアや制御機器のテストに重宝いたします。Androidスマートフォン等で現在の環境データを表示する試作アプリもあります。これは、GooglePlay経由でインストールできませんので、説明書を参照の上、自己責任でご使用ください。
リンク・ダウンロード
UECS送受信機(Windows版のUECSパケットアナライザ)のダウンロードページ
Windows版のUECSダミーノード(ZIP、2378kB)
Android版UECSAndroidMonitor(温度計表示アプリ、ソースコード付き)(ZIP、2.26MB)
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・ソフトウェア (2)UECSによるスマート施設園芸のためのツールやクラウドサービス
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・ソフトウェア (3)UECSで簡単に複雑な制御方法を実現するためのツール
UECS用制御ロジック開発ツール開発しました。このツールはWindows PC上で動作し、マウスによるドラッグ&ドロップにより、フロー間を結線することでデータの流れを編集できます。受信したCCMにユーザーが記述したスクリプトによる演算を行い、別のCCMとして送信することで複雑な統合環境制御を実現できます。複数回の改良を行った後、最終版の提供を受けて温室内のUECSネットワークに接続したPC上で動作させ、意図通りに制御が可能であることを確認できました。
リンク・ダウンロード
UECS用制御ロジック開発ツール活用マニュアル(農研機構のダウンロードページへのリンク)。UECS用制御ロジック開発ツールVer.2.3(ZIP、3,575kB)。※ご使用に関する許諾条件があります。必ずご一読ください。本ソフトウェアをご使用された場合は、本条件に同意されたものとみなします。UECS用制御ロジック開発ツールのサンプルプログラム(ZIP、18kB)。
農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「UECS 用制御ロジック開発ツールの実証試験」。
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