現地実証

 開発・提案された、UECSプラットホームを利用する手法・ツールを導入し、中小規模施設のスマート施設園芸の実証を下記の特色ある4作物、6県、7件で実施しております。

表 実証地域の作物のUECSによるスマート化実証の必要性と施設形態の対応

作物 UECSによるスマート化栽培実証の必要性 既存施設 新設施設
重装備施設 軽装備施設
トマト 大消費地の多様なニーズに応える近郊地域の中小規模施設の生産性向上と安定生産。 都市近郊養液栽培篤農家の高度要求(CO2湿度制御)に対応(神奈川県) 土耕CO2施用法と他の環境の連携組合せの複合制御(埼玉県)
イチゴ 輸出商品としての可能性が高い。多棟分散小規模施設の施設形態が多い。 老朽化らくちんコントローラの転換と本圃増殖栽培の組合せ(香川県) 地床土耕栽培からの段階的対応と子苗直接定植(山口県)
キュウリ 生産労力等により大規模が難しく、中小規模施設での生産を維持・改善する要請が多い。 日射量多く気温上昇しやすい地でのCO2効果的施用(宮崎県)
スイートピー 切花輸出量第一位である。高品質安定生産のための高度な環境制御の要請が多い。 秋低日射時落蕾防止のヒートポンプ冷房との高度連携制御(岡山県) 品質向上とリスク低減のヒートポンプ除湿制御と連携(宮崎県)

2016年度の研究成果

・宮崎県

 キュウリでは、低コストUECS制御機器(三基計装(株)製YoshiMax)による温度制御(サンクール社製自動開閉機、ネポン社製加温機)及びCO2局所施用(宮入バルブ社製CO2局所施用機)の制御が可能であることを実証した。スイートピーでは、低コストUECS制御機器(三基計装(株)製YoshiMax)による成長点スポット冷房による高温管理の制御(サンクール社製自動開閉機及びヒートポンプ(菱名工業社製CLHD3UBD))が可能であることを実証した。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「小・中規模ハウスにおける実用的な複合環境システムを活用したキュウリの高品質・高収益生産技術の検討」、「小規模ハウスにおけるヒートポンプおよび複合環境制御システムを活用したスイートピーの高品質・高収益生産技術の検討」。

・山口県

 センター内にUECSモデルハウス(UECS環境計測システム及びUECS統合環境制御システム導入)及び従前体系ハウス(環境計測システム導入、環境制御は従前のタイマー管理)を㈱ワビットと連携して試作設置した。センター内における環境制御・計測システムの試験運用とイチゴ栽培への適応性を評価した。現地実証地へのUECS環境制御システム及び環境計測ネットワークの試験導入を継続中である。モデルハウスにおいて、ハード及びソフト技術要素からなるイチゴの高効率・省力生産体系の構築に向け、品種‘かおり野’の子苗直接定植技術を導入し、育苗過程の省略と定植時期分散を実証し、慣行区と変わらない頂果房頂果の開花と収穫開始となることを確認した。今後、CO2の株元局所施用技術、株元局所加温技術、飽差制御を組み入れた栽培を継続する。実証経営体の就業者によるUECS関連技術の習熟度向上を支援するため、関連機器に関する講習会を開催し、本研究に関する情報提供とともに機器に関する学習を進めた。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「UECS 統合環境制御によるイチゴの高効率生産体系の構築 1.暖房,サイド換気及び潅水の自律制御が品種‘かおり野’の収量および果実品質に及ぼす影響」。

・岡山県

 岡山大学と協力して、現地実証圃場の現行の環境モニタリング機器および既設のヒートポンプを確認するとともに、環境モニタリングおよびヒートポンプ制御に関する生産者の意見を聞き取りした。本年度中に、岡山大学、三基計装と協力して、現地実証圃場および農業研究所内のガラス温室にUECSを利用した統合環境計測・制御装置を設置し、現地実証圃場では環境モニタリング、農業研究所では環境モニタリングおよび環境制御を開始した。農業研究所内のガラス温室に、ヒートポンプおよびUECSを利用したヒートポンプ制御機器を設置して、ヒートポンプを用いた夜間冷房によるスイートピーの落蕾抑制実験を実施し、8℃冷房区においてで、13℃冷房区および19℃加温区より落蕾の発生が少ないことを明らかにした。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「夜間冷房時の温度がスイートピーの落蕾に及ぼす影響」。

・香川県

 平成28年7月に香川県農業試験場の試験温室内の養液栽培用のピートバッグにイチゴを定植し、本圃で収穫株を増殖させ、窒素中断を行うことにより花芽分化を促進し、慣行のポット育苗と同等の収穫を得る事を目的に試験を行った。8倍、4倍、2倍増殖を試みたが、いずれの方法でも窒素中断により慣行ポット育苗よりも開花を早めることが出来た。CO2施用技術の検証に関しては、12月初旬にUECS対応システムへの移行を完了させ、平成29年5月末まで栽培を継続し効果の確認を行う。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「中小規模イチゴ産地におけるUECS統合環境制御の導入と早期定植・本圃増殖法による省力育苗体系の確立」。

・神奈川県

 平成28年8月に神奈川県農業技術センター内の試験ほ場にトマトを定植し、定植直後から湿度制御(加湿)を10月から二酸化炭素施用を開始した。UECS対応システムは平成28年12月に導入し、統合環境制御を開始した。平成29年2月末現在、湿度制御(加湿)および二酸化炭素施用温室では、慣行温室比べ、トマト収量および1果重は多く、また大きい状態で推移している。今後、平成29年7月まで栽培を継続して効果を確認する。技術教育として、指導員を対象に2回、生産者を対象に1回、計3回環境モニタリング・制御に関する研修会を実施した。この研修会等により、指導的立場の者および生産者の環境制御技術に対する認識を深めることができた。神奈川県寒川町の現地実証ほ場において、生産者が所有する2温室の既存の環境制御機器をUECS対応システムにリニューアルした。その結果、温室内だけではなく作業場でも計測値・制御値を確認することが可能となり、利便性が増した。現在、本UECS対応システムを用いてトマト長期多段栽培を行なっている。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「中小規模複数温室を対象としたUECSによるトマト長期多段栽培における環境モニタリング・制御および環境制御技術の普及推進」。

・埼玉県

 埼玉県加須市北川辺地区においてトマト促成栽培におけるCO2の効率的な施用技術として局所施用機器を導入10月からCO2施用を開始した。併せて、既存の環境制御機器をリニューアルするUECS環境制御プラットホームを導入しモニタリングを開始、制御については生産者の制御技術の習得に向け支援し生産技術の実証の準備を行った。

 農業情報学会2017年度年次大会・オーガナイズドセッション「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」(東京大学弥生講堂・2017年5月19日 9:00-12:00)の研究発表講演要旨(PDF)「埼玉実証地における炭酸ガス局所施用技術確立に向けた環境制御の検討」。